仁王+幸村+丸井+赤也



「だぁああああやってられるかよぃ!」

目の前に白い紙がバサバサと宙を舞う。いきなり発狂しだしたブン太にチョークがぶち当たる。うえ、痛そう。

「まじ丸井黙れって。さっきから煩いんだけど。頼む、いいから黙れ」
「……」

カタン と大人しく黙りながら俺の向かい側の椅子に腰かける。シャーペンを動かしながらチラリとブン太を見るけど。なんか馬みたいな顔になっとる。

「ブンちゃん、なんか馬みたいな顔になっとるぜよ」
「あ?なに。遠回しに馬鹿って言いたいわけ?まじ仁王うんこ。仁王んこだわ」

こっそり言ったら100になって帰ってきた。何この理不尽な八つ当たり。多分俺は今馬みたいな顔になってるだろう。まぁでもこの時期の俺達の荒み方はひどいもんだから分からんわけではないけど。

「なーんでテストなんてあるんスかねー」

隣で幸村の八つ当たりの被害に合わないよう先ほどまで黙っていた赤也が口を開く。確かに、と意思を表明するように首を上下に振るった時、俺達とは離れた机で勉強していた幸村がため息をはく気配を感じた。ついでに痛いほどの視線も。

「ゆ、幸村、どうしたんじゃ」
「ほんと、なんで俺達テスト2日前から急いでテスト勉強してんだろうって思ってさ」
「いや…それは」
「しかも柳生だっていない。蓮二もいないし」
「そういや柳生いないよな」
「柳生先輩ならさっさと帰ってましたよ!仁王くんに捕まると勉強出来ないからとかなんとか」
「柳生のやろう…」
「じゃあ柳は?幸村くん知ってる?」

ふるふると力なく首を振る様子からきっと柳も柳生と同じ理由で逃げたんだろう。そして集まったのは三人の三年と一人の二年。俺達終わった。

「もう逆に勉強しなくていいんじゃないかな?」

幸村が呟くように言った言葉に俺達三人は項垂れながら頷く。

「帰ろう、か…」

それを合図に机に広げていた教科書を片付ける。ノートを鞄に詰めながら向かい側のブン太のノートを見れば「apple」としか書かれてなくて心配になった。いや、ブン太は勉強しなきゃいけないだろ。
明後日にひかえる期末テストに向けて俺達は勉強をしないことに決めた。



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