仁王+幸村+丸井
仁王誕生日おめでとう!



年に一度は自分が主役である日が必ずある。

「仁王うううう誕生日おめでとおおおお!」
「ぶっ!」

顔面に大きな物体がぶつかる衝撃と、行動とは真逆の祝いの言葉を食らった瞬間、あぁ今日がその日か とどこか冷静な頭で考えた。


後頭部から派手にダイブしてしまったせいか、背中とか頭とすごく痛い。仰向けになりながらも恐る恐る顔面に手を当ててみればベッチョリした感触。匂いは甘い。味も甘ったるい。

「ふふ、仁王ったら驚いて声も出ないみたいだよ」
「俺の特製ケーキだから味わえよ」

声からして多分幸村とブン太。えっ、というかケーキなの、これ。廊下のど真ん中でケーキをぶち当てるってどういう事なの。なんなのお前ら。

「なんの嫌がらせじゃ」
「いやいやいや、だから最初に言ったじゃん。誕生日おめでとうって」

視界だけでもとクリームを剥ぎ取って上体を起こして二人を見る。ついでにブン太には手についたクリーム投げたった。

「確かにおまんらにケーキをぶち当てられるまで誕生日なのは忘れとったのは認めるぜよ。いやでも普通に言ってくれてもよかったんじゃ…」
「俺達のおかげて自分の誕生日思い出せたじゃん。よかったね、永遠の15歳」
「そういう発言やめろ」
「ハッピバースデートゥーユー」
「ブンちゃんいきなりどうした」
「ハッピバースデーディア仁王ー」
「ハッピバースデートゥーユー」

そうやって最後に幸村も歌えば周りにいた見知らぬ生徒や見知った顔の生徒達がなぜか拍手をし始めた。キョトンとしていれば、幸村とどや顔のブン太に手を引っ張られて立たされる。ブン太の歌声はいまいちだったけど、なんか、うん。こんな風に祝ってもらうのはいいかもしれな

「改めて仁王、誕生日おめでとう!」

ブチャアッ と二発目のケーキが顔面に繰り出された。ちょ、これは予想外。



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