赤也+仁王+幸村


「あーまじ捲りたい」
「何をっすか?」

暑い季節の中、俺と仁王先輩と幸村部長は俺ら以外誰もいない空き教室にいた。特に何もしていないそんな中、パタパタと扇子を振りながら仁王先輩は言う。捲りたい、と。課題をしていた俺はペンを動かしている手を止める。何かと聞けば待ってましたと言わんばかりには身を乗り出し、器用に扇子を片手で閉じた後無駄に色気を含んだ声で言う。正直中学生に色気もくそもあるかと言われれば言葉を詰まらしてしまうけど、少なくとも俺はこの声音で話す仁王先輩は嫌いだ。

「スカート」

やっぱり聞くんじゃなかった。今さら後悔しても遅い。ため息を吐きながらプリントに集中しようと切り替えたが、予想外な人が話に割って入ってきた。まぁ幸村部長以外いないけど。

「この季節になると女子はスカート短くするしね。階段とかたまたま上見たら水色の水玉がいるみたいな」
「そうそう。あんなに短くするもんじゃから捲ってほしいんかと思っちょったのに、たまたま階段上がってたらいきなりあたしのパンツ見たでしょってマジギレ。わけわからん」
「あぁだから前、頬に立派な手形が出来てたんだ」

そういや以前遅れながら部活に来た仁王先輩の頬には綺麗な手形があった。あぁ、あれ女の修羅場で受けたのかと思ってたのに。

「でも最近はスパッツとか短パンを下に履いてて正直俺のロマンが失われつつあんるだけど」
「あー確かに。男のロマンは妨害されつつあるのう」

うんうん、と頷く二人の先輩にどうにも共感が持てない。そんな俺はおかしくないはずだ。

「パンツ見れるんかと思って見上げたのに、黒のスパッツでしたってなった時の屈辱は逆ギレしたいくらいじゃき」
「分かる」

いや仁王先輩もはやそれ意図的に女子のパンツ見ようとしてますよね。もうやめてください!と叫ぼうとした時、突如空気に似合わず激しい音を立ててこの教室のドアが開かれた。

「ま、丸井せんぱ…」

入ってきたのは丸井先輩で、その頬には痛々しいほどに真っ赤な手形。いやまさか。ない。今の流れでいけばそう繋がるけど止めてほしい。

「ブン太、それパンツで?」
「うん」
「どんまい」

こんな会話しているテニス部が王者と言われてるなんて世も末だ。



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