丸井+幸村+(仁王)



仁王に彼女が出来た。

A組の胡桃ちゃんという女の子と仁王が付き合い出したのは2日前。胡桃ちゃんってなんだよ。名前からして可愛いじゃねーか。仁王のくせに生意気だなちくしょう。そう嫌みを言ったのに照れ臭そうに笑う仁王は幸せそうだった。

「におー」
「悪いブンちゃん、今日も無理じゃ」
「あっそ」

付き合い出して仁王は俺とあまりつるまなくなった。まぁ彼女と友人なら当たり前に彼女をとるよなーとか最初は気にしなかったが、いつの間にか俺達は部活以外でも喋らなくなった。

「あれブン太今日も一人?」
「…………」
「ごめんって。そんな睨まないでよ」
「帰る」
「部活は?」
「やだ」
「やだって俺部長なのにそんな事言わないでよ」
「ごめん」

どうせ部活行っても、フェンス先にいる胡桃ちゃんばっか気にして仁王と会話さえ成り立たないし。前に真田がたるんどる!と怒鳴って胡桃ちゃん泣いちゃったせいか、誰も仁王と胡桃ちゃんカップルを攻めない。なにあれちょうウザイ。

「ブン太、今日は部活サボろっか」
「え?」
「俺と一緒にサボってくれるなら部活行かなくていいよ」

あり得ない幸村くんの申し出に無意識に頷いてしまったのは本心から部活に行きたくなかったからだ。

幸村くんに連れられて向かった先は屋上で、壁に沿って置かれている植木鉢は幸村くんが大切に育てている植物が生えている。

「見て。前に仁王とブン太が勝手に植えた花。こんなに大きくなった」

見せられた手のひらサイズの植木鉢に刺さった画用紙の切れ端で作った仁王の札と俺の札。あぁそういや前にどっちが大きく育つか勝負しようって植えたっけ。

「仁王が毎日水をあげに来てたんだよ」
「は?」
「あのぞうのじょうろで毎日毎日。勿論彼女が出来てからも」
「嘘、だろぃ…」
「俺もビックリ」

なんだよ仁王。お前バカか。俺なんて忘れてたのに。

「なんか、すっきりした…」
「そう?ならよかった」

明日にでも一言くらいよかったな、とでも言ってやるか。



「仁王、ぜってぇ彼女泣かすなよ」
「あぁ別れた」
「は、…はぁ!?」
「なんかビンタされた。んで別れてって言われた」
「そ…うか、」
「まぁ好きじゃなかったからいいんじゃけど」
「はぁ!?」



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