夜中に何度か覚醒していたのであまり良い目覚めではなかった
私はまだこの新しいベッドに慣れていない
まさか昨日早速ここで寝ることになるとは思ってなかった
「とりあえず今日はこれで帰りますね」
「なに言ってるの、今日からここが名前の家だよ
もうすぐ暗くなるんだし荷物の整理は明日でいいでしょ」
とかなんとか
全然帰してくれそうにない
「でも私着替えとか持ってないですよ」
当たり前だけど、
「なら俺のを貸してあげるよ」
案の定黒のVネックでした
もちろんサイズ合ってないのでぶかぶかです
だけど着てみるとこの家と同じにおいがして、これが折原さんのにおいなのかな、なんて思ったり
「彼シャツだね」
「ちがいます」
いちいち爆弾投下してくるからこっちはドキドキですよ
心臓に悪いです
顔に出さないようにするのが大変じゃないですか
寝起きのぼーっとした頭で昨日のことを思い出す
私はここで折原さんと暮らして本当に大丈夫なんだろうか
なんか、こう、ひとつ屋根の下でふたりっていろいろ危ない気がする
どう足掻いても手遅れなのはわかってるけど……
今自分が着ている折原さんの服の裾を握りしめる
昨日は確かに感じたにおいがもうわからなくなっていた
彼のシャツを共有するということ
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