引っ張られて着いたのは新宿の高級そうなマンション
新宿に来た時点で嫌な予感はしてたんだけど……
一応出された紅茶には手をつけてない

「さて、じゃあ改めてきくけど君は苗字名前ちゃんだよね」

ふかふかのソファーに腰をおろす折原さん
もうここで否定しても無意味だけど素直に正体明かすのもなんか釈だし、

「黙ってるってことは肯定だね
俺は君を探していたんだ」

情報屋の折原臨也が私のことを調べたならだいたい事情は知ってるはず

「どうして私を探していたんですか」
「君に興味があったからに決まってるじゃないか
もっと正確に言うなら君という人間に、かな」

ああ、噂にきいた通りこの人は変人だと思った

「元情報屋の君なら俺が人間を愛していることくらい知ってるだろ?」

いやいや他人の嗜好まで調べる趣味はないんで

「突然情報屋を辞めるなんてそんな面白い人間初めてだよ」
「そうですか」
「だから俺の傍に置こうと思ったんだ」
「はい?」
「ちょうどバイト探してたところだったんでしょ?うちで君を雇うよ、もちろん住み込みで」

それって、え?

「同棲だねぇ」
「それは同居です」
「どうせ今住んでるところは出るつもりなんだからここに住めばいいじゃん
別に家賃取ったりしないし、不自由はさせないし」

なんでそんなことまで知って、ってもういいや
良い話だと思うけど家賃は払うべきかと
というか情報屋辞めたのに情報屋でバイトとかなにその冗談

「そこら辺でバイトするよりも良い給料だし、悪い話じゃないだろ?賢い名前なら正しい選択ができるよね」

丸め込まれている気がする

「言っとくけどこれは嘘じゃないし、からかってるわけでもないから」

嘘じゃないなら確かに大きなメリットがある話
まあ今のところはそれでいいか
なにか問題があったらそのとき辞めればいいし
なんて思っていた私が甘かったのかなぁ
沈黙は肯定を示す
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