なんか楽で稼げる割のいいバイトないかなーと池袋の街を歩いていたら突然自動販売機が宙を舞った
ああ、姿はみえないけどたぶんあれは平和島静雄だ
でももう今の自分には関係ない
巻き込まれないように早くどっか行こう
「いーざーやーくーん」
いざや?
もしかしてケンカの相手は折原臨也かな
だったら尚更やばいと思い走り出したら
「うわっ」
あ、我ながら色気もへったくれもない声
横の裏道から出てきた黒いなにかとぶつかって地面に手をついた
「大丈夫かい?」
きれいな指の手が差し出された
「あ、はい
すみません、ありがとうございま……」
顔を上げてみたら……こいつ折原臨也じゃん
「ああ!もしかして君、苗字名前ちゃん?」
やばい
この人には絶対バレちゃだめだ
「いえ、人違いじゃないですか?それじゃあ私はこれで、」
「いーざーやーくーん」
「げっ
シズちゃん、もう追いついてきた
とりあえず逃げよう」
いきなり腕を掴まれ、そのまま裏道に引っ張り込まれる
「え、あの、ちょっと……」
全然離してくれないし、細身なのに意外と強い力だから振りほどけない
私は一緒に走るしかなかった
ふたりの出逢いに灯を
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