昨日のことをまとめると、俺はたぶん名前に嫌われてはいない
むしろ好意的
でも彼女の今までの人生が今の名前の足枷になっているんだろうね
そこまで読んだ上で俺は彼女にああ告げた
…絶対に名前を離したりなんかしないから
自然と口角が上がる
ますます名前が欲しくなったよ
面白くなってきた
名前の淹れてくれたコーヒーを飲みながらコンピューターにログインし、もう一度データをチェックする

「今日は仕事で一日中外出てるから午前中は家事を、午後はそこの棚のファイル整理をしてもらおうかな
できるところまででいいから」
「わかりました」

朝起きて、俺たちは昨晩なにもなかったかのようにいつも通り振る舞った

「なにか必要なものがあったらこれで買って」

数枚のお札が入った封筒を手渡す

「あ、ありがとうございます」

上着を羽織って依頼人に渡す資料を手に取った

「じゃあそんな感じで適当に留守番よろしく」
「はい」

パタパタと急ぎ足で名前は玄関まで見送りに来てくれる

「あ、あとなにかあったらすぐ俺に電話しておいで
いつかけてきてもワンコールで出るよ
名前の携帯に俺の番号登録しといたから」
「えっ」

あわてて携帯をチェックしている
驚いた顔もかわいいなぁ

「いってくるね」
「あっ、お気をつけて」

あー、早く俺のものになればいいのに
掴んで零して
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