私は自分が情報屋をやっていたときのことを思い出していた
情報を売ることでだれかに恨まれて憎まれて命を狙われたり
情報を得ること自体が危険だったり
女であるが故に襲われたり、大怪我を負ったりもした
彼の仕事の様子は知らないが同じ情報屋である以上、折原さんも似たようなことを経験していると思う
職業柄私たちは、裏世界の非日常に生きる他のどの住人たちよりも互いを理解し合える
神様がいるのなら、どうして私たちを巡り合わせてしまったのだろう
きっと私たちは出会うべきではなかった
私はだれかに想われるような存在じゃない
表世界の日常にあるような幸せを手にしてはいけない
ずっとこの業を背負って生きるべきだから

「あなたは私の雇い主です」

しっかりと折原さんの目を見て告げた
これが私の出した答え

「…確かにそうだね」

やっと折原さんは身を引いた
ほっとして起き上がる
安心しきっていた私の頬にきれいな手が添えられた

「じゃあ俺に惚れさせてあげる」
それぞれが背負うものはきっと半分こできるのに
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