テレビは次のシチュエーションに移っていた
今度の男は自信たっぷりにものを言う俺様系だった

「俺、お前以外の女に興味ねぇよ」

明らかにお互い好意を抱いているのに女はなぜか渋っている
視聴者側としてはとても もどかしい
もう早く付き合えばいいのに

「俺と付き合わなかったら後悔するよ」

思わずクッションを抱き締めた

「これは?きゅんときた?」

ニヤニヤしながらまた折原さんは聞いてくる
わかってるくせに…

「そ、そうですね」

頬が熱くなる

「やっぱり名前はMなんだね」

「は」

いや、そういう話じゃないと思うんですが

「かわいい」

え…えええっ!?
今、折原さん…か、かわいいって…
いや、前にも言われたことあるけど!

「わ、私!夕飯の準備してきますっ」

この場から逃げ出したくてクッションを置いて勢いよく立ち上がったが

ぱしっ

「そんなのいいからこっち来なよ」

キッチンへ行こうとした私は手首掴まれてソファーに押し倒された
視界には天井を背にした折原さん
どんなに細くても折原さんは男で私は女
力では敵わない
あっさり組み敷かれる

「あの…お、おりはら、さん?」

まだ湿っている髪がやたら色っぽい

「俺は今、名前以外の人間に興味ないよ」

うーん?それは人、ラブな折原さんにとって私はただの観察対象ってことですよね?

「俺の女になりなよ」

な、なにを言って…

顔に熱が集中しているのがわかる

「からかわないでください」

平静を装ったつもりだけど、折原さんの整ったきれいな顔は見れなくて横を向いた
手首を掴んでいた手は私の指に絡められた
色白で細くて長い指だがやっぱり女の私とはちがって男らしい手だ

「俺と付き合わなかったら後悔するよ」
俺様系男子
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