家に帰って私はテレビを見ながらソファーでまったりしていた
折原さんはシャワーを浴びているからリビングには私一人だ
なんとなく、女子がきゅんとするセリフ特集という番組を選んでいた
イケメンがシチュエーションに合わせてきゅんとするセリフを囁いてくれるという内容だ
私、別にこんなに乙女じゃないんだけどな
手近にあったクッションを抱えた
最近いろいろなことがありすぎたから癒し求めてるのかな、なんて心の中で自嘲気味に笑ってみる

「へぇ、名前ってこういう番組見るんだ」

真っ白なバスタオルで髪を拭きながらお風呂から上がってきた折原さんは当然のように私の隣に座る
ふわっと石鹸のにおいがした
お風呂上がり特有のいい香り

「他に面白そうなのがなかったので」

どうしても意識してしまい、冷たい返事になる
まあ嘘ではないけど
なんだか恥ずかしくなって折原さんと少し間を空けて座り直す

「夕飯作りましょうか?」

お風呂上がりでも黒のVネックだったので、私よりも折原さんが服買ったほうがいいと思う、と余計なことを考えてないとドキドキが抑えられない気がした

「いや、あとでいいよ」

折原さんは見る気満々だった
この状況でこの番組は選択ミスだったかなぁ



テレビにはまだ付き合っていない、でもいい感じの男女が映し出されていた
敬語で話している様子から男が年下のようだ

「先輩、俺じゃダメですか?」

年下男子に言われたいセリフらしい

「名前もこういうセリフにきゅんとくるの?」
「さぁ、どうなんでしょう」

正直あまり恋愛経験豊富ではないし、好意を寄せた年下男子もいないのでよくわからなかった
今まで仕事人間だったからなぁ

「でも、かわいいとは思いますよ」
「ふーん」

素っ気なく返された
自分から聞いてきたくせに…
女子がきゅんとするセリフ特集
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