「あーうー」


もうわけのわからないうめき声しか出てこない

薬飲んだのになんでこんなに痛いの

登校した途端お腹を守るように机に突っ伏した


「大丈夫?」


顔を上げると朝練を終えた降谷くんが立っていた

うっすら滲む汗がなんとも青春

私の前の席の彼は横向きに座った


「痛いの?」

「超痛い」

「いたいのいたいのとんでけー」


男子高校生らしくないセリフだけど、心配してくれているのは伝わった


「あはは、ありがとう」


ちょっと元気出たかも


「降谷くんタオル忘れてたよ!」


あ、小湊くん


「ありがとう」

「あれ、苗字さん大丈夫?」


ああ二人とも心配してくれてる

優しい……天使……


「どうしたの?」

「お腹痛いんだって」

「なに食べたの?」

「あ、いや、そうじゃなくて…」


え、これ言わなきゃだめなの?


「えっと…女の子の日……」


途端小湊くんは顔を真っ赤にした


「ご、ごめんっ」


確実に私よりかわいいな、おい

一方、降谷くんは首をかしげている

なんのことかわかってないな、こいつ

お昼にもう一回薬飲もう…

そこで先生が来て朝礼が始まった





「あの、さっきは本当にごめん」

「いいよ、気にしないで」


またすぐに謝りに来た小湊くん

ほんと、いい子だなー


「なにか困ったことがあったら言ってね?
俺にできることならなんでもするから」


なに、その女の子が言ったら完全に殺し文句なセリフは!


「ありがとう、小湊くんは優しいね」


きゅんて!きゅんてきたよ!

でも目の前の彼はクスリと笑った


「苗字さんだからだよ」

「え?」


彼はかわいいだけの小湊くんじゃなかった


「俺は誰にでも優しいわけじゃない



……この意味わかるよね?」


いやいやいや、そんなまさか



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