テスト前の放課後はさすがの青道高校野球部も部活は休みだった

自然な流れでマネージャーも含め、みんなでテスト勉強をしようということになり、私は寮にお邪魔していた


「なんで名前ってそんなに化学できるのに英語はダメなんだろうね」


でた、亮介の毒舌

わからないところはクリスとかにきけばいいし、亮介とテスト勉強できるし、って軽率に寮に来て反省


「化学教えてるんだから嫌味言わないでよ」

「俺は英語教えてあげてるんだから等価交換でしょ」


そんなセリフを吐くわりには優しい手つきで頭を撫でてくれる

やめてよ、そのギャップにドキドキしちゃうから

あー私って単純

よし、もうちょっと英語がんばろう

この部屋には三年生がほとんどだった

私たちのやりとりに慣れたのか、空気を読んでか話に割って入ってくる人はいなかった

しばらく英文と向かい合っていたが、私の貧しい集中力は切れて、いつの間にか眠りに落ちようとしていた

眠い寝たい、でも起きなきゃ…


「名前」


葛藤の最中、すぐ近くで声がして目を開けたら亮介の顔があった

肌もきれいで整った顔が目の前にある

驚きすぎて声が出なかった


「次、寝たらこの唇奪うからね」


あごに手をかけ、親指で唇をなぞられる


「キスしてほしいなら寝てもいいけど?」


クスクス笑われる


「ッ…もう寝ない!」


これ絶対からかわれてる


「じゃあもうエロい顔して寝ないでね、俺の理性が持たないから」

「え?」


ちょっと待って、亮介なに言ってんの?

自分の都合よく解釈してしまいそうで…


「食べちゃうよ?」


ああもう


「…いいよ」


食べてください

いつもの笑顔はどこか勝ち誇ったかのような黒さを含んでいた


「名前、英語以外も俺が手取り足取り教えてあげるよ」

「えええええ!?」


英語のテストがやばいです



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