2年の教室に3年が行けばちょっとは目立つ
あいつは御幸や倉持とは相変わらずのようだった
俺は名前を呼び出し、人通りの少ない階段の踊り場へ連れていった
「どうしたの」
「なんでお前は俺を避けてんの?」
「別に避けてないよ」
とにかく早く戻りたそうにそわそわしている
でもダーメ
帰してやらないよ
じりじり近づき壁のほうへ追いつめる
「春市のことならきいてるよ」
一瞬動きが固まる
やっぱりそこは抉られたくないんだ
ということは、たぶんもう名前は自覚しているはずだ
「自分でもわかってるんだろ?
いい加減認めて楽になっちゃいなよ
……俺のこと好きなんでしょ?」
ああ、こういうときにこんな意地悪な言い方するのは俺の悪い癖かな
「ずっと前から言いたかったことだけど、俺は好きだよ、名前のこと
お前は俺の大切な人だ」