気づくのが遅すぎた
こういうのタイミングが大事っていうし

普通ってなんだろう
今までは普通だったのに、その普通ができなくなった
1日や1週間や1ヶ月がとても長く感じる
いつもどんな風に亮介と接してたっけ
亮介をみつけると胸が高鳴って、でもすぐにみなかったふりをする
どうしちゃったのかな
以前は用事なんかなくても話しかけてたのに
亮介が嫌いなわけじゃないのに
いや、むしろ……
鮮明に覚えているのはあの日のクリームシチューの味だった

様子がおかしいのはすぐにわかった
伊達にあいつと何年も幼なじみやってないからね
どうも俺は避けられている
目は合わないし会話も必要最低限くらい
これまでの普通が嘘みたいな
春市からクリームシチューの件はきいていた
「告白したんだけど見事にフラれちゃった」ということも
だけどそれで俺を避けてるとは考えられない
「兄貴、名前のことよろしく」と言った俺の弟は本当によくできた弟だよ
あいつの反応をみていればわかる
わかりやすすぎる
その先をどうするのかはあいつ次第だけれど
どうせこのままじゃいられないんだし、ちゃんと名前と話そうと思った
そうしたらきっと……


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