瞬間、思い浮かんだのは微笑んだ亮介の顔だった
え、なんで亮介?
それから亮介に春市が好きかときかれたことや御幸の背中やもっちの炭酸が次々と頭をよぎった
「私も春市のこと友達として、というか幼なじみとして好きだよ」
ちがう
春市は友達としてなんかじゃない好きを伝えようとしていた
それはわかっていたけれど
でもその気持ちを受け止めることはできないから
胸がぎゅうっと締めつけられる切なさを感じる
ごめんね春市
私ってずるいよね
気づかないふりしてごめんね
自分にとって大切なものはいっぱいあった
そのすべてが変わらずあってほしいと願っていたけれど変わらないものや変わるものがあるんだね
家族や友達、野球部のみんな、御幸やもっち、春市や亮介……
「春市はずっと私の大切な幼なじみだよ」
彼は言い直そうとはしなかった
あえて訂正しなかったという優しさに救われた
春市が私の幼なじみで本当によかった
「名前が俺の幼なじみでよかったよ」
あ、同じこと考えてた