「春市!今日うちに泊まりに来ない?夕飯クリームシチューなんだけど…あっ、でも無理にとは言わないよ?」

名前からのその誘いを断る理由なんてなかった
純粋に嬉しかったし、これが彼女の気持ちを知るチャンスになるかもしれない
それと、ひとつの決意をして練習が終わった後の薄暗い道を歩いた





本当はわかっていた
春市が本気だったこと
だけどあのとき私は正面から彼に向き合うことができなかった
かわすしかなかった
それは春市だったからこそかもしれない
クリームシチューを作ったあの日、最初はふたりで楽しく食べていた

「どうかな?おいしい?」
「すっごくおいしいよ、なんか懐かしい味がする」
「ほんと!?嬉しい!ありがとう!」

亮介だったら絶対素直においしいなんて言わないもん
思い出話や野球部の話、学校の話などで時間はあっという間に過ぎていった
そんな話の途中だった


「俺、名前のこと好きだよ」



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