「あれー、サボり?」

屋上の扉を開けると、壁にもたれかかった黒縁眼鏡がすぐ横から声をかけてきた

イケメンだけどチャラそうな人

たぶん先輩かな

どうやら先客らしいが、なんとなくこの人とはあまり関わらないほうがいいと思った

「失礼しましたー」

早々と扉を閉めて撤収しようとするが

「ちょ、待て待て」

すかさず足を滑り込ませて閉じかけた扉を開けると、イケメン眼鏡は私の腕を引いた

初めて屋上に足を踏み入れた春の終わり

「俺、御幸一也」

心地良い風が髪を撫でた

「お前は?」


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