朝の空気
眠い
倉庫からボールのカゴを取り出して運ぶ
私は家が近いからいつも朝練の前に準備をしている

「んっ」

お、重い
でもこれをグラウンドに運べば準備は終わり

「あっ…」

転けそうになったがぐっと踏ん張る
去年のマネージャー業のおかげで私も成長したかもしれない

「セーフ!」
「セーフじゃねぇよ」

カゴから落ちてしまったボールを倉持が拾ってくれた

「貸せ」

さっと私の手からカゴを奪い運んでくれる

「あ、もっち!ありがとう」
「もっち言うな」

これはもうお馴染みのやりとりになっていた

「ボールは重いから俺たちでやるっていつも言ってるだろ」
「うーん、でも…」
「でもじゃねぇ!」

優しいなぁ、もっちは

「紳士だなー倉持くんは」

あ、

「「変態くそ眼鏡」」

「なんでそこ息ぴったりなの」
「おはよう御幸!」
「しかもスルー!?名前ちゃんおはよう」

そこからすぐに悪友の言い合いが始まる
やっぱり君たち仲良いよね!

「じゃあ私学校行くよ、朝練がんばって!」
「おう」
「またあとでなー」



寮の横を通れば部員とすれ違う
春市とも会ったから練習がんばれって言ったらありがとうって返してくれたり
教室やグラウンドで悪友の会話を聞いたり
帰り道を亮介と一緒に歩いたり
こんな毎日が続けばそれで充分だよ


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