「俺今日外泊ね」
「しんどくない?」
「全然」

亮介はよく学校から家まで送ってくれていた
寮に帰らずそのまま家に泊まることもあった
けれど明日は朝練があるから、大丈夫かときいたんだけど
まあいつものことか

「じゃあ先にお風呂入ってきて」

タオルと我が家に置いてある彼の着替えを渡して脱衣所に送り出した
この日はなぜかちょうど一年ほど前のあの日と同じ予感がしていた





アイツはわかってないんだろうな
男と女がひとつ屋根の下で夜を過ごすことの意味を
服を脱ぐ
俺は幼なじみという関係から脱したかった
風呂場の扉を開ける
春市が名前を好きなのは知っていた
だからいつかそれが恋心となったら、俺のライバルになるであろうことも予想はしていた
他の部員もマネージャーである名前と仲がいい
好意を持っているヤツもいると思う
しかも俺とアイツには去年のあの出来事がある
俺は不利かもしれない

でも諦める気はないけどね

「難攻不落だね」

幼なじみだからこそ、かな……
ひとつ、クスッと自分を笑った

「余計、燃える


絶対落とす」



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