小湊くんに抱きしめられて、いわゆる壁ドンをされて、恥ずかしくて目を合わせることなんてできなくて、視線を斜め下にやる
近い近い近い
近すぎるよ
彼の息づかいさえ感じる
けれどさらに小湊くんは近づいてくる
「好き」
耳元でたしかにそう囁かれた
「えっ」
「ずっと前から」
でも、それはなんだか辛そうな声で
「あっ」
首筋に彼の唇が降りてきた
それだけで身体に力が入らなくなっていく気がする
え、ちょっと待って小湊くん
あなたの告白に応えるから
「ひゃあっ」
今度は口づけされた場所をペロリと舐められた
ちょ、待ってよ
声出ちゃう、恥ずかしい…
「は、春市くん!私も好きだよっ」
思えば、私は最初から小湊くんのことが好きだったのかもしれない
ピタッと動きは止まり、顔を上げた彼と見つめ合う
ちゃんと彼の目を見たのはこれが初めて
頬に赤みが差しているけれど、それは普段のかわいい小湊くんじゃなくて、かっこいい小湊くんだった
見たことのない彼の表情に胸がきゅんとなる
「…うん、俺も好きだよ」
笑顔でぎゅっと抱きしめてくれたとき、私も彼も片想いにさよならできた気がした