キャアアアアアー
黄色い歓声が野球部のグラウンドを包む
選手の名前を呼ぶ声も多い
帰るときにグラウンドの横を通り過ぎるが、つい足が止まってしまう
汗を流しながら野球に打ち込む彼らの姿を見ていると応援したくなるし、好きになる気持ちもよくわかる
ファンが多いというのもそれだけ愛されているということだと思う
フェンス越しに覗くとすぐに桜色を見つけた
「小湊くん…」
ドクン
彼を見ると、あの「俺に惚れなよ」というセリフを思い出して心にひとつさざ波が立つ
まだ陽の高い太陽に照らされて淡い髪色になっている
青い空に桜色がよく映えていた
すごく、きれい…
「好きに、なっちゃったのかな、」
いつからだろう
ちょっと前まではこんな気持ちはなかったと思う
でも今は、彼を意識して目で追いかけていて
「眩しいね」
小湊くんは手をかざしながら空を仰ぎ見た
もうすぐ、夏本番