はっぴーばーすでー



誕生日が特別な日だと思えるようになったのはいつからだろう。


…真選組に入るまでの誕生日は、普通だった。
真選組に入って数年しても普通だった気がする。
バースデーソングを歌って、プレゼントもらって、ケーキを食べて。どこにでもある誕生日会。
変わったのはいつからだろうとふと考えた時、答えは直ぐに見つかった。


「…土方さんと付き合いだしてからだ」

「何が」

「いえ、なんでもないです」


ベロンベロンに酔っ払った土方さんはさっきから呑むか俺に絡むか、完全にハメを外している。

この人の頭には敵襲とかないのかな。完全に無防備な自分の恋人を見て考えた。
ワイワイガヤガヤ、組のほとんどがいるんじゃないかというほどの大宴会に、人を殺す為の道具は見当たらない。あるのはささやかな料理と溺れる程の酒、そして溺れているおっさん達(沖田さんは別。あの人酔わねーし)。


「山崎、抜けるぞ」

「え…?」


酔っ払っているらしい土方さんは、しかししっかりとした口調で言い俺の腕を掴んだ。


「土方さん!!」

「マヨネーズプレイとかどーよ?ちなみに今日はバニーガールの衣装だからな」

「わー楽しみー…じゃなくてっ!!」

「大丈夫だ、酔って誰もお前がいないことに気づかねえよジミー」

「ジミーって言うなぁぁぁ!!」


千鳥足の土方さんと副長室に入ると、そのまま土方さんは俺を押し倒した。


「ギャアアア!!あ、バニーさんは!?」

「あん?明日にしろ明日に」

「嘘つき!!」


裸にされつつ、こんな状況で敵が来たらそれこそ終わりだなと思った。

でも、この人と死ねるならそれも本望だ。

貴方も同じだとかなり嬉しいんですけど。

また別の日に聞こうと思います。

今聞くなんて無粋だしね。


「土方さん、」

「あ?」

「俺、生まれてきて良かったです」


ギュッと抱きしめると、土方さんは柔らかく微笑んで抱きしめ返してくれた。


「誕生日おめでとう、退」


今日は特別な日。




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