はち。

※単行本50巻と劇/場/版銀//魂の壮大なネタバレ。





















▼単行本の質問より

「おい、総悟、お前さっさと書類提出して―――」
「「げっ」」

総悟の部屋の障子を引くと、山崎と総悟が揃えて声をあげた。サボっているんじゃねえ、とお決まりの文句を言おうとして、失敗した。

「何やってんだてめえらァァァ!!!」

代わりに、鍛え上げられた腹式呼吸で、怒鳴る。山崎はビクリと肩を跳ねさせたが、総悟はどこ吹く風だ。のんびりと胡坐をかいたまま、事もなさげに答えた。

「おやつの林檎剥いてもらってんでさァ」
「っざけんな!!刀で果物の皮剥くやつがあるか!!」

ダンっと床を踏み鳴らす。また、山崎の肩が跳ねた。その手には、刀と林檎が握られている。そう、山崎は包丁のように、刀を使っていたのだ。
侍の命を、そんな風に使ってよいものか。否、使ってはいけないに決まっている。

「器用でしょう?俺でもできねェや」
「あたりめえだ!!大体、刀はそういうことに使うもんじゃねえ!!」
「ま、まあまあ!副長も食べません?美味しいですよ」

誤魔化すように笑った山崎は、スルスルと皮を剥き終えて、実を割った。捨てられた皮は、見事に一本に繋がっていて。
器用なやつだとは思っていたが、ここまで器用だったか。内心、舌を巻く。刃が長く、重たい分だけ、刀の方が難易度が高いはずだが、いとも簡単にやってのけてしまった。地味だが、相当な技術を要するはずだ。

「はい、沖田さん。それと、副長も」

差し出されたそれに、いつの間にか怒る気はそがれていたいた。ため息をついて、それを受け取る。一口かじると、林檎の甘い香りが口内を埋め尽くした。

「…次からは、やめろよ」

懐紙で刀を拭っている山崎に、そんなことを言うしかできなくて。総悟の舌打ちが、やけに耳に痛かった。



















▼劇場版ネタバレ。

のちへん。