なな。

※Twitter#同題山崎より、3/2分テーマ「刺青」より

【原山】
「原田、そんなヤクザみたいな顔して、刺青いれないよね」
山崎が竹内兄貴の雑誌を見ながら言う。
「どういうことだそれ。いれねえよ」
実を言えば、いれようと思っていた時期もあったのだが。コイツと一緒に温泉入れねえのは惜しいしな、と幸い、未だに綺麗な自分の腕を見た。



【沖山】
姉上が、「父上と母上にもらった体と名前は大切にしなさい」と言ってたから、自分から体を傷つける奴が嫌いだった。でも、山崎は「お父ちゃんが、唯一くれたものだから」と優しい眼差しで言った。背中一面の桜を抱えて、あいつは、今日彫り直しに行くらしい。



【土山】
指輪の代わりに、刺青を彫った。抱き合うとピタリと重なる小さな絵柄に、自分の一生を捧げる決意をした。「身も心も真選組に尽くすと誓ったが、なかなか、幸せなもんだな」と、愛しそうに土方さんは自分の刺青をなぞっていて。俺は、同意を示すようにその上から口づけた。




【高山】
蝶の刺青を、内腿にいれた。風呂に入っても見えない位置に。それはまるで、俺の秘めている想いのように。「こんなことしたって、あの人には会えないのに」ポツリと呟く。次の満月の晩が待ち遠しい。あの人は、興冷めだと突き放してくれるだろうか。それとも、――ああ、早く。



【山桂/病み】桂さんのうなじに蝶がいたら綺麗だろうな。長い髪に隠れた首筋は、日差しから遮られ、とにかく白い。もし、髪をかきあげたときに蝶が見えたら。そんな妄想が頭の中を埋め尽くす。とりあえず、捕まえて縛ってみようか。
「桂ァァァ!!」
死んでしまうかもしれないけど。



【新山】
「侍なのに背中に傷」
新八くんの呟きに首を傾げる。テレビを見ると、背中が桜のあの人が出ていた。
「刺青って傷なんですよね」
「そうだよ。俺もはいってる」
「え!?」
驚く顔が面白くて、着物を脱いだ。すると、彼は傷ついたような顔をして、背中がゾクゾクするのを感じた。


【銀山】
「白粉彫りっつーんだよ、これ」
腰に浮かぶ、般若の顔に、旦那は苦笑いを浮かべ、前髪をかきあげながら言った。
「肌色で彫ってっから、熱で浮かぶ」
「興奮してくれんですか?」
「そりゃまあ、な。こんな大サービスしてもらったら」
ニヤリと笑った旦那に、俺も笑みを零した。