※山→土→沖前提土山
ああ、厭な気分だ。 こんなに想いが通じないセックスがあるとは思わなかった。
「ねえ、土方さん」
「あ?」
隣で煙草を吸う副長は腹立たしいほど男前だ。まるで、芸術作品のような。 苦笑しながら、相手の上に馬乗りになる。それから、首に手をかけた。僅かに力をこめる。苦しくはないくらい。跡つくかな?ついてしまえばいい。俺のものにはどうせならない。
「誰を見てますか?」
「山崎、てめえ何して」
「俺?違うでしょう。当ててあげましょうか」
俺が気づいてないとでも思ってるのだろうか。いや、そんなことはないだろう。賢いこの男のことだから、全部知ってるはずだ。 冷たいシーツに足を置いて、暖かい首にありったけの力を、こめようとした。できないけど。
「俺ァ、沖田さんじゃないんですよ?」
「知ってる」
「あと1cm足りませんし、髪の毛だって全然違うし」
「そうだな」
「こんなの、ただの八つ当たりでしょう」
沖田さんが自分のものにならないからってあんまりだ。 首にかけてた手を顔に当てて、せめて涙が溢れないようにした。
副長は、黙って煙草を吸ってただけだった。
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寝タバコは危険なのでやめましょう。
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