▼ 別々の宿題-05-
シュタッと天井から降り部屋に入る。
『先生方、喜三太がまだ登校していません。』
すると部屋にいる教職員の方々が眉を寄せる。部屋には、先程までいなかった小松田さんが吉野先生の隣ですわっていた。恐らく呼び出されたのだろう。
さて、とりあえず心に決めていた小松田さんのお仕置きはこの件が片付いてからにしようと思い直した。
「こちらも埋まっていないのは喜三太だけです。」
「宿題の方の残りは?」
土井先生が宿題を照らし合わせたていく。山田先生が吉野先生に聞けば、宿題の残りを確認した吉野先生が冷や汗を流しながら口を開いた。
「………6年生用の"オーマガトキ城主の褌を盗れ"…です。」
『「「不味いでしょっ、それ!!」」』
この場にいた全員が一拍遅れて盛大に突っ込んだ。まずい。これはかなり不味い。まさかそんな宿題が当たっていたなんて。
「変な宿題〜〜。」
『「小松田さん/君は黙って下さい/なさいっ!!」』
顔を大きくして小松田さんに怒鳴る吉野先生と共に俺も我慢しきれず大声を出してしまう。宿題の残りの内容がわかり、教職員全員に焦りが見えはじめた。かく言う俺も酷く焦っている。
「オーマガトキ城は今、タソガレドキ城と戦の真っ最中で旗色が悪い。」
『そんなところに喜三太が行っていれば…。』
「それこそ大変ですよ!」
「直ちに救出に向かわなければ…」
全員が厳しい顔つきになり、喜三太の身を案じる。その瞬間、部屋の真ん中に飛び込んできたのは煙幕弾。不思議に思うひまもなく爆発して煙と共に学園長とヘムヘムが出てきた。
「喜三太救出は宿題をやってこなかった生徒による選抜チームに行かせる!」
突然現れて何を言い出すかと思いきや。そんな、とんでもないことを。
『学園長先生っ!』
「突然の思いつきをやってるバヤイではないですぞ!」
俺と山田先生の言葉に学園長は顔を大きくし声を少し荒げる。
「思いつきではなーい!これから忍術大作戦が始まるのじゃ!ヘムヘム!!」
学園長がヘムヘムに目配せをすると、ヘムヘムが"宿題をやってない生徒リスト"を我々に見せた。
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