雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 別々の宿題-03-


今日で長期休暇も終わり。
教職員の方が今回の件で手を離せないので俺が全てのクラスを回って生徒が登校しているか確認をする。

『やあ、久しぶり。全員いるか?』
「「「わーっ!!!」」」

1年は組の教室にスッと入って声をかければ、教室にいるは組の子達は驚きで悲鳴をあげた。

「「「あ、事務員の蓮夜さ〜ん!お久しぶりでーす!」」」

だが、一瞬でコロッと態度を変えて挨拶をして来た。まったく、毎度毎度このノリについていくにはお兄さん苦労するよ。だって精神年齢はもう30越えだもの。とそこで気づく。明らかに人数が少ない。ひい、ふう、みい、よ。

『乱太郎、きり丸、しんべヱ、喜三太がまだ来てないな。』
「………あの、蓮夜さん。」

恐らく乱きりしんは3人揃って遅刻だろう。だが、喜三太が来てないのは何故だ。
足下からかけられた声に目を向ければ、そこには学級委員長の庄左ヱ門がこちらをじっと見つめていた。

「事務の小松田さんのせいで、一部の忍たまの宿題が入れ違っていたと言う話は本当なのでしょうか?」

やっぱり、皆知ってるよな。
そりゃ当たり前か。

『ああ、本当だよ。』
「「「えー!!!」」」

この反応からして、ここにいるメンバーは自分の宿題を、もし入れ違っていたとしても同じ1年生の宿題をもらったようだ。わいわいとクラスがその話で盛り上がる中、教室の扉か開く。
ああ、やっと来たか。

「「「やっほーっ!」」」」
「"やっほーっ!"ってそれどころじゃないんだぁ!」
「庄左ヱ門どうしたの?新学期そうそう顔を大きくしてぇ。」

乱きりしんに向かって、庄左ヱ門がくわっと顔を大きくして叫ぶ。そんな庄左ヱ門に目を丸くてして驚きながら乱太郎が首を傾げた。そのとき、俺に気づいた3人がこちらに向き元気よく挨拶をしてくれた。

「「「あ、蓮夜さん、おはよーございます!」」」
『ああ、おはよう。』

呑気か。いや、俺もか。

「一部の忍たまの宿題が入れ違っていたんだ。」
「どういうこと?」
「事務の小松田さんのミスで。」

心底わからないという顔をするきり丸に事情を話す庄左ヱ門は呆れ顔だ。まあ、それも仕方ないが。

『小松田さんが皆の宿題を運んでいる時に転けてしまって、封筒を散らかしたんだ。』
「それを適当に詰め直したもんだから混ざっちゃって…。」
「それって俺の宿題を乱太郎がやってくれてたりとか?」
『「……きり丸/きりちゃん…」』

俺と乱太郎の声が見事にはまった。いや、しかしきり丸は宿題をやってなかったのか。土井先生がいないとすぐサボるんだから困ったもんだ。

『きり丸の宿題はなんだったんだ?』
「読書感想文っす。一頁もよんでないですよー。」

きり丸の話を聞いた瞬間拳骨を落とす。いてぇっ、と頭を押さえるが素知らぬふり。これはきり丸が悪い。きっとアルバイトの事で頭が一杯だったんだろうな。



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