雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 別々の宿題-02-


『失礼します。』

一声かけて部屋に入る。中には学園のほとんどの教職員の方が1枚の紙を囲んで座っていた。

「おお、蓮夜戻ったか。話はもう聞いているな?」
『ええ。』

山田先生の問いに俺は軽く頷いて答える。吉野先生からの話によればこの事態に1番最初に気づいたのは木下先生。それから教職員総出でこの事に当たっている。早く呼び戻してくだされば良かったのに。この件は同じ事務員である彼の失態。ならば俺が先頭きって対応しなければならないのに。自然に眉が八の字になって寄ってしまう。

『本当にすいません。謝って済む話ではないのですが……。』
「なに、蓮夜がそんな顔をすることではないさ。」
「ええ、我々も全力を尽くしているので貴方が気に病むことはないのですよ。」

ぽんっと俺の頭の上に手をのせて優しく撫でるのは土井先生。ああ、本当にすみません。また満足に休暇も貰えなかったでしょうに。
そして安藤先生。とても失礼ですが、いつもは組を馬鹿にしたり親父ギャグを炸裂させる貴方が今日はこんなに優しいなんて。ねちねちとした暴言を言われるかと覚悟していたのに。

「まだ、登校していない生徒もいるから全ては埋まってはないが…。」

そう言い見せて貰ったものは宿題と生徒の名前を照らし合わせた紙だった。兵助の宿題は
ーーナルト城の軒丸瓦奪取。
これを完遂したのか兵助は。本当に怪我で済んで良かった。

「まだ今のところ下級生が上級生の宿題に当たったと言うのはありませんが、」
「気が抜けませんな。」



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