雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 別々の宿題-01-


長期休暇明けまであと少しと言う時、事件は起きた。吉野先生の話が信じられなくて、俺はもう一度聞き返した。

『……え、今何と仰ったのですか?』

事の発端は忍術学園が長期休暇に入る前らしい。しかしその時から俺は、

「蓮夜〜すまんがまた忍務に行ってきてはくれんかのぉ。」

と学園長に頼まれたので事務の仕事を小松田さんと吉野先生に任せて学園を離れていた。
そりゃいつもヘマをするけれど吉野先生もいらっしゃる事だし何だかんだ大丈夫だと思っていたんだが。

『一部の忍たま達の宿題が入れ違っていた!?』
「ええ、そうなんです。」
『……あの、もしかして、宿題は学年など関係なく入れ違っていたんですか?』

あまりの驚きに俺は声が大きくなってしまう。しかし反対に吉野先生は大きなため息と共にかすれ気味の声しか出ていない。ふと嫌な予感が頭を横切ったので、それを否定してもらおうと思い聞いてみたのに吉野先生は今度は無言でコクりと頷いた。
……な ん て こ と だ !
それじゃあ、6年生用の宿題を下級生が受け取っている事もあり得ると言うことだ。基本的に6年生用の宿題は特別に厳しく、いつ死んでも可笑しくないものばかりなのに。本当に何てことだよ。

「事態が発覚したのは、5年生の久々知兵助くんが6年生用の宿題を受け取ってしまい、遂行中に怪我を負って学園に帰ってきたのです。」

まさか、そんなことになっていたなんて。怪我で良かったなんて言えないけれど、生きていてくれて良かった。

『兵助の容態はどうなんですか?』
「もうほとんど回復しています。まだ保健室で入院中ですが。」

ほっと安堵の息を吐いた。
本当に良かった。

『何が、と言うか。誰が原因ですか。』

だいたいの予想はついている。こんなことを仕出かすのは1人しかいないからね。

「小松田くんです。」

よし、あのへっぽこ事務員。今度と言う今度はお仕置きだな。



prev / next

[ back to top ]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -