▼ は組と言付け-おまけ-
「うげっ……。」
『どうしたんです、土井先生?』
隣に座っている土井先生がある一点を見つめて固まった。不思議に思い聞いてみれば、土井先生は苦虫を噛み潰したように心底嫌そうな顔をして答える。
「……いや、定食の中に練り物が。」
『そう言えば嫌いでしたね。』
「ははは……。」
ふと、よく練り物を残して食堂のおばちゃんに追い回されているところを思い出す。
『じゃあ、これと交換しましょう。これなら問題ないでしょう?』
自分の定食のおかずと土井先生の練り物の入っているおかずを取り替える。そうすると、土井先生は涙ぐみながら俺を見た。
「あ、ありがとう蓮夜!」
泣くほど嫌いだったのか。
本当、土井先生も可愛いよな。
「蓮夜さんって皆に優しいけど、特に土井先生に甘く見えるのは僕だけかな?」
「俺もそう思う。」
「「「僕も/俺も/私も!」」」
こしょこしょと小声で話すは組の子達に山田先生が冷静に突っ込んだ。
「いやいや、お前らに対してが1番甘いと思うぞ。」
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