▼ 家族の絆-02-
まったく、きり丸は懲りないなあ。まあこれこそがきり丸なんだろうけど。
土井先生もなんだかんだ文句を言いつつも、きり丸のことを一等大切にしてるしね。お互い信頼して頼りにして支えてるんだよなあ、この2人は。
「……はぁ、わかったわかった。手伝ってやるよ。」
気を取り直して起き上がった土井先生は、ため息をつきながらも嬉しそうにきり丸の頭を撫でた。
血は繋がってないけど、
ーーー本当の家族みたいだ。
は組の子達も俺も思うことは皆同じだった。俺にもいたな。こんな家族みたいな人が。 今はもう会えない、大切な人が。
『俺も暇なときバイト手伝ってやるからその時は言いに来い。 』
俺はそう言ってきり丸の頭をくしゃっと撫でる。ただ土井先生ときり丸の笑顔が見たくて、この"家族"を近くで見たくなって、俺はそう言った。暖かさに触れたくなったんだ。
「!! じゃあこれからお誘いいっぱいするんで"タダ"で手伝ってくださいね!!」
「はいはい、わかったよ。」
嬉々として話すきり丸の目はいつの間にか小銭になってる。なんともすごい芸当をお持ちだ。でも、そんなところも可愛く思えてくる俺は子供に対していささか甘すぎるのだろうか。
いや、俺だけじゃないよな。6年生達が良い例だ。後輩に甘い。特に自分の委員会の後輩には特別甘い。うんうん、やっぱり小さい子は可愛いもんな。それに自分の事を尊敬してくれている子ならなおさらね。
きり丸の頭をわしゃわしゃと撫でたまま、物思いに更けっていれば下から声が聞こえる。
「蓮夜さん。そろそろ恥ずかしいですけど……///」
真っ赤な顔で俯くきり丸はそりゃもう俺の母性本能を的確にくすぐってくる。あ、今は男だったわ。
ごめんごめん、と笑いながら頭から手を離すときり丸はむっとした顔で俺を見上げた。
「もう!子供扱いは止めてくださいよ!」
『子供だろ?』
「子供じゃないですよ!」
即座に反論するきり丸に対して笑みが溢れた。
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