▼ お勉強会-01-
「うーん…」
木陰で座っている庄左ヱ門が、忍たまの友を開いて頭をひねっている。そんな彼に俺はそっと近づいて声をかけた。
『どうした?そんな難しい顔して。』
「っうわあああ!!……って、蓮夜さんですか。吃驚させないで下さいよ。」
『ははっ、悪い悪い。そんなに驚くとは思わなかったよ。』
「上級生や蓮夜さんは普段でも気配がほとんど無いですから余計に吃驚するんですよ。」
そう言いながら庄左ヱ門はむうっと頬を膨らませた。そんなことしても、お兄さんの癒しに貢献するだけだぞ。
『で、何で庄在ヱ門は、そんなに難しい顔してるん だ?』
「ちょっとここの問題が解らなくて。」
庄佐ヱ門は忍たまの友のある頁を俺に見せた。なるほど、これは確かに1年生からしたらややこしい内容だ。まずは言い回しを簡単にして、と……。
1年生の彼でも分かりやすいように丁寧に一つ一つ教えていく。
『ーーーーーであるから、ここの問題の答は【い・ろ・は】の3択のうちの【ろ】が答だ。わかったか?』
「はいっ!よくわかりました。」
俺が問題の説明を終えると、庄在ヱ門はすっきりした顔で元気よく返事をした。そんなに喜んで貰えたら、教えた側も嬉しくなると言うものだ。
『そうか、なら良かった。人に勉強なんて教えたこと全然無かったからさ。』
「え、そうなんですか?とても分かりやすかったですよ。」
『そう言って貰えて良かったよ。』
これまた吃驚と言う顔をする庄左ヱ門の頭をくしゃっと撫でると恥ずかしそうに頬を染めて俯いた。本当に可愛いな、おい。
「あの、他の問題も教えてもらっていいですか?」
『いいよ。どの問題だ?』
本当に勉強熱心だな、庄在ヱ門は。は組のみんなも見習ったらいいのに。そうすれば、土井先生も神経性胃炎の悩みから解放されるかもしれないのになあ。
prev / next