▼ 変装名人-01-
廊下を歩きながら、ふと朝礼のことを思い返す。あのは組の良い子達の質問攻めの後はあとで、またいろいろ凄かった。
は組の子たちがわいわいと騒いでいれば、そこにい組の子たちが突っかかりにきて、ろ組の子たちはその様子を見てオロオロと泣きそうになるし。
そして上級生というよりは主に小平太が、「いけいけどんどーん!」と下級生を巻き込んで暴れだすし、文次郎と留三郎はぎゃあぎゃあと喧嘩を始めるし。とりあえず、
『疲れた……。』
本当に若いっていいよな。もうしばらく疲れる事や厄介事は勘弁だ。
「なんだ蓮夜。もう疲れたのか?」
『……ったく、当たり前です。いきなりみんなの前に出されるし、みんな騒ぎ出して収集がつかなくなるし。』
振り向いて俺は即答する。はあ、とため息をが溢れるのは仕方がないと割りきって欲しいね。
『本当、学園長先生に挨拶を突然振られた時はどうしようかと焦りましたよ。』
「そんなふうには見えなかったが?」
『顔に出さなかっただけですよ。』
むうと少しふて腐れてみれば、視線の先にいる山田先生が、悪かったと言いながらくすくす笑った。本当に思ってます?他人事だと思って、もう。
「ああ、そういえばお前のことを吉野先生が探していたぞ。」
山田先生がふと思い出したようにいった言葉に俺は首を傾げた。はて、今日の俺の仕事は朝礼が終わった後に全て済ましたのだが。それなのに吉野先生が俺を探しているんだとすれば、たどり着く答えは1つしかない。
ーー小松田さん、また何かやらかしたか。
また無意識にため息が溢れた。
あのへっぽこさんめ。
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