▼ 朝礼と良い子たち-03-
『で、みんなの質問なんだけど……。』
俺は、一呼吸おいてから口を開いた。
『ナメクジは好きではないけど嫌いでもない。まあ普通だ。』
触るくらいならさほど問題はない。ただ昔、前世はゴキブリと並ぶぐらい大嫌いだったけどね。
『食べ物で好きなものは甘味かな。嫌いなものは特にない。』
だって甘味は最高に美味しいじゃないか。ああ、竹成様も甘味が好きでよく一緒に食べたものだ。
『生まれはよくわからないんだ。事務員の前は城仕えだった。』
生まれの町は戦で焼かれてしまったしササガタケ城も落ちてもうない。まったく、己の無力さを思い知らせれるよ。
『好きな人はいないし、恋人もつくったことがない。これからもそういう相手をつくろうとは考えてないかな。』
"忍者の3禁"と言うよりも俺はもともと"女"だからさ、いささか抵抗があるんだよ。まあ、仕事上女とも男とも寝たことは何回もあるが。…うん、この話は忘れよう。
『あと、カラクリに掛かるのは是非とも遠慮したいな。』
伊作に巻き込まれて、掛からないように気を付けなければ。
『火縄はまあまあ得意だよ。』
まあ、山田先生にはほど遠いけれどね。
は組のよい子達にされた質問を一気に返すと、みんなぽかんと口を開けて呆けていた。なんでだ。
「…蓮夜、よくこいつらの言ったことがわかったな。」
土井先生が目をぱちくりしながら言ったけれど、俺自身も彼らの言葉を聞き取れたことに吃驚だよ。俺にこんな才能があったなんて。役に立つときはほとんど無いけどさ。
「蓮夜さん、すごーい!」
「土井先生みたい!」
しんと静まった空気を破ったは組の子たちはきゃあきゃあと騒ぎだした。そう言われれてみれば、土井先生も同じ芸当が出来てたな。
ふふ、聖徳太子みたいだ。
『そうだ、まだ全員の名前聞いてなかったな。』
乱太郎、きり丸、しんべエ、庄佐エ門以外の名前をまだ聞いてなかった。すると彼らはまた一斉に口を開く。
「「「#Е□*¥@%〜△○!」」」
『えっーと、伊助に喜三太に金吾、団蔵、虎若、兵太夫、三治郎だな?』
一人ずつ確認のために呼べば嬉しそうに頷いてくれた。一気に弟がたくさん出来たみたいで、お兄さんは嬉しいよ。
「「「よろしくお願いしまーす!」」」
『おう!よろしくな。』
prev / next