雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 朝礼と良い子たち-02-


手を挙げている乱太郎の隣には、お金に目がないきり丸と食いしん坊のしんべエもいた。おおう。生らんきりしん……。なんとも可愛らしい。

『ふふ、いいですよ。えっーと?』

ここで俺が彼の名前知ってたら可笑しいので少し困ったような顔をしてみれば、乱太郎は察してくれたのかぽんっと手を打った。

「あっ!私は猪名寺乱太郎です。」
「俺は摂津のきり丸っす。」
「僕は福富しんべヱです。蓮夜さん、何かお菓子持ってますか?」

名乗ってくれた乱太郎に続いて、隣の2人も元気よく挨拶をしてくれる。さっきの緊張はどこにいってしまったのか、俺はにこにこと頬が緩みっぱなしだ。

『乱太郎ときり丸、しんべヱだな。はじめまして。お菓子は残念ながら持ってないんだ。今度は用意しておくよ。』

しんべヱは俺の言葉に少しがっかりしたが、用意しておくと言うと次こそはくださいねぇと笑った。うん、可愛い。いくらでも用意しておくとしよう。

「乱太郎達ばっかりずるいよー。」
「蓮夜さーん、ナメクジさん達は好きですかあ?」

彼らと話していると、横から割り込んで入ってきた子供達。彼らも恐らく同じ1年は組のよい子達だろう。あまりにも一斉に喋るものだから、

「「「◎?□*、@!#〜△?◎※Д#※!」」」

全く言葉になってなかった。それすらも許せる彼らの存在は最強だと思う。

「こぅら、お前達!一斉に話したらダメだっていつも言ってるだろ!!」

1年は組のよい子達の暴走を拳骨で止めたのは、これまた1年は組担当の苦労人である土井先生だった。微笑ましいなあ。

「ほら、もう一度1人づつ話していけ。"1人づつ"だぞ!」
『ああ、大丈夫ですよ土井先生。………ええっと、君が庄在ヱ門くんだよな?』

は組のよい子達に念押しする土井先生に俺はくすくす笑いながらストップをかける。そして、確認のためには1人のは組の子に問えば、彼は大きく頷いた。

「はい、そうです!よろしくお願いします蓮夜さん。」
『よろしくな。』

くしゃっと頭を撫でれば、笑ってくれた庄左ヱ門に心が癒された。うん、本当にちいさい子達は可愛すぎていけないや。いつかショタになってしまいそうで不安である。……ならないよ?
さて、みんなが質問を繰り出している中、庄左ヱ門だけはきちんと自己紹介をしてくれていたので、お陰さまで思い出せた。

"黒木 庄在ヱ門"
1年は組の学級委員長で、は組の頭脳

流石に俺が"忍たま"を見てた時の記憶って結構古いものだから、覚えてないこともいっぱいある。例えば、顔は覚えてるけど名前が思い出せない、とかね。庄在ヱ門が良い例だ。かなりアニメに出ていたはずなのに名前が思い出せなかった。俺の記憶力、結構良い方だと思ってたんだけど。歳かなあ。

……うん、自分で言って後悔した。




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