雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 朝礼と良い子たち-01-


今日で長期休暇が終わり、だんだんと学園が賑やかになってきている。
そして今、朝礼の真っ最中で学園長が生徒の前で話をしていた。集まっている生徒達をぐるっと見渡してみる。なんというか、率直な感想としては素晴らしくカラフルであると言いたいね。

「ーーさてさて、今日は皆に紹介したい人がおる。」

そう言った学園長はこちらを向いて俺に手招きした。……んと、今の紹介したい人って俺のことなのか?自分で自分を指差しながら首をこてんと傾げ、学園長に疑問符を浮かべれば、当たり前だと言う風に頷かれた。

「蓮夜、挨拶してきなさい。」
『えっ、ちょ…。』

突然後ろから山田先生に軽く背を押され、俺はみんなの前に躍り出ることになった。
えぇー、こんなの聞いてないんだけど。いや、いつか紹介はされるとは思ってたけどさ、事前に言ってくれるもんでしょう。ったく、大勢の人前に立つの苦手なんだけどな……。

兎にも角にもきちんと挨拶をしなくてはと思い、内心焦りながらも俺はポーカーフェイスを崩さないように愛想のよいにこりとした笑顔を浮かべた。第一印象って大切だからね。

『はじめまして。この学園で新しく働くことになりました事務員の秋月蓮夜と申します。拙い者ですが、これから宜しくお願いします。』

よーし、恐らく完璧だな。
少し彼らの前に立つことに落ち着いてきた俺は、もう一度生徒達を見回した。先程はカラフルだと言う感想しか出てこなかったけれど、改めてよく見ればと見覚えのある生徒たちの顔もある。この前知り合った6年生は勿論だけど、他にもアニメで見たことのある顔がたくさんあった。

「はーい、質問いいですかぁ?」

元気の良い、可愛らしい声のした方に視線を移す。
そこには、水色に井桁模様の忍装束を着た小さい男の子が元気よく手を挙げている姿があった。
某探偵アニメの小さな主人公と同じ声に赤茶色のふわふわの髪に大きなまあるい眼鏡が印象的な少年。
………ら、乱太郎くんじゃあないですか。

あの物語の主人公がそこにいた。



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