雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 狙われた斉藤親子-05-


「一年は組は全員いるな。四年は、い組の滝夜叉丸と喜八郎、ろ組の三木ヱ門、は組のタカ丸か。」

土井先生が出席をとって、今家にいる人数を確認していく。
それにしても、みんなやりたい放題だな。ここ仮にも土井先生の家だからね。学園じゃないから。ほらほら、ご飯食べるのは良いけど散らかさないの。まったく、しょうがないなぁ。

「えーと、それから斉藤幸隆さんと戸部先生と、 」
『あと、風魔流忍術学校の方々です。』
「「「お邪魔してまーす!」」」
「ああ。そうだった、そうだった。お久しぶりです、山野先生、与四郎くん、仁之進さん。」

俺の言葉をさらっと流して、挨拶を始めた風魔忍の3人と土井先生に忍たま達はズコーっと盛大に転けてくれた。いやー、本当にみんな息ぴったりでお兄さん感動するわ。

「「「えええーーーっ!!」」」
「「「い、いつのまに!?」」」

わいわいと盛り上がる中、タカ丸くんが俺の隣に来てちょいちょいと装束を引っ張った。

「ねえねえ、なんでおじさんが1年生なの?」
『ああ、タカ丸くんは初めて会うのか。仁之進さんはね、中年になってから忍になりたいって風魔忍術学校に入学したから。だから喜三太と同級生なんだよ。』
「へぇー、そうなんだ。…………ねぇ、蓮夜くんから見た仁之進さんってどうなの?忍として、あの歳からでもやっていけるのかな?プロの忍びとしての意見を聞かせてよ!」
『…うーん、そうだなぁ……。素質はあると思うよ。今までの仕事を捨てて忍を目指すだけはある。ただタカ丸くんの言うように歳だからねえ…。将来的に考えたら戦忍は厳しいかな?絶対に無理って訳ではないけどね!』

俺の解答に「なるほど」と相槌を打ってタカ丸くんは何かを考え始めた。
編入で、年齢と学年が合ってないことに何か感じるものでもあったのかな?歳は圧倒的に仁之進さんの方が上だけどねー。
でも、将来のことはゆっくり考えればいいよ。他の4年生とは違って考えれる時間は短いかもしれないけど俺も手伝うしね。

俺達がぼそぼそと喋っていると、山野先生が居住まいを正して真面目な顔をした。

「我々は暗殺者とそやつらを逃がした忍を追ってきました。手伝っていただきたい。」
「ええ、ご協力しましょう。」

山野先生が軽く頭を下げれば土井先生はふわりと笑った。忍術学校同士にしては珍しく、忍術学園と風魔流忍術学校は同盟関係にある。だから、困ったときはお互い様と言うことだ。利害も一致してるしね。

「そうですか、万寿鳥・土寿鳥を脱出させたのはドクササコ忍者でしたか。わざわざ足柄山まで出てくるとは……。」
『恐らく、ドクササコもどこかの忍者隊に頼まれたと、我々は推測しています。』
「今、山田先生と利吉くんがドクササコを追っていますので詳しくはまた後程。…………それにしても………、」

土井先生が会話に一区切りついたところで、ぐるりと家の中を見回した。いやー、分かります。俺もずっと思ってた。さすがにこれはね、

「『………暑苦しい!!』」

家の面積に対して人が多すぎやしないか。さっきよりも圧倒的に。


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