雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 閉幕そして帰還-02-


小松田さんから制札を受け取った時の手潟さんは、あまりの嬉しさに少し涙ぐまれてた。

「有り難う御座います。」

そう言って学園長に深く頭を下げた手潟さんに、俺は心底この村を護れて良かったと思った。きっとみんなも口には出さないものの同じことを考えていただろう。

「あ、小松田くん。」

利吉さんが制札を預かっている小松田さんに声をかけてきた。普段なら苦手としている小松田さんに自ら近づくことはない利吉さんが、この場で彼に声をかけると言うことは、………そういうことか。

「僕にも1枚貰える?学園長には話してあるから。」

利害が一致ってやっぱりそうだったんだね。利吉さんも別の村から制札を貰ってくるように依頼されていたんだろうな。制札を受け取って帰ろうとしている彼に声をかけて呼び止めた。

『利吉さん!』
「ん?何だい、蓮夜くん。」
『いえ、ただお礼をと思って。』

喜三太を助け出すのに力も貸して貰ったし、情報もいろいろ流してもらった。すると彼は俺の考えていることが分かったのか、ふっと笑った。

「僕は、学園のためならいつでも力になるよ。もちろん、蓮夜くん個人の時でもね。」
『ふふ、俺個人の時もですか。』
「また困ったときは言ってくれ。」
『ええ、頼りにしてます。』

まさかの利吉さんの言葉に俺は内心少しだけ驚いていた。そんな風に思われて嬉しくないはずがない。山田先生と学園長に挨拶してから去っていった利吉さんに続いて佐武衆の皆さんも、園田村から去っていく。

「よし、それでは儂らも帰るとするかの。」

学園長の言葉に忍たま達は元気よく返事をした。ふふ、ようやく帰れるね。……全員揃って。誰も欠けることなく学園に帰れることに、俺は嬉しくなってくすっと笑った。


忍術学園全員出動の段
(ただいま、)
(おかえり!!)


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