雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 学園の総力結集-07-


「先鋒の鉄砲隊。後詰めの長柄。砲兵隊まで連れて来た……。」

遠眼鏡を覗きながら兵力の確認をした照星さんの言葉に俺はひっそりと眉を寄せる。園田村1つに対しての敵の兵力が可笑しすぎる。こんなのまるで、

「連中、城でも攻める気か?」

ぼそっと照星さんが溢す。それは俺の言葉を代弁したものだった。本当に、何故こんなにも戦力をこちらに裂くのか。意味がわからない。

「この距離ではカノン砲も届きませんよ!橋を落としたので砲を近づけることも出来ません、し……?」

遠眼鏡を覗きながら自信ありげに話していた三木ヱ門だが、話しているうちにその声はだんだんと小さくなっていった。そして少しのあいだ何かを考えていた三木ヱ門だがばっと顔をあげた。

「………いや、違う。それでもカノン砲の弾丸は園田村に降りそそぐんだ。」

その確かな答えに俺はにやりと笑った。ふふ、三木ヱ門の奴忘れて無かったな。ちゃんと覚えていたことに俺の口角が自然と上がっていく。
幾分か前に付き合った鍛練で、俺はさらっと"跳弾"の話をしていたのだ。弾が跳ね返るのは何も壁や石垣だけじゃないと言うことを。鉄製の球形弾丸を地面と平行に発砲すれば、弾丸は地面を数回跳ねる。それは十分人を殺傷するだけの威力があるのだ。

『大正解。あのまま間違えてたら危うく拳骨を落としていたよ。』

三木ヱ門の頭にぽんっと手をのせた。すると、三木ヱ門は最初から気づかなかった事に対して、恥ずかしそうに俯いた。最終的に気づいたんだから俺的には問題は無いと思うんだがなあ。そう思っていれば照星さんも同じように感じたらしく口を開いた。

「判断を誤る前に気づいた。それだけでも十分だと思うが、蓮夜くんはどう思う?」
『俺も十分だと思ってますよ。』
「……はい、ありがとうございます!」

照星さんと俺の言葉に三木ヱ門は顔をあげた。少し照れ臭そうな顔をしながらも嬉しそうに笑ってる。そんな表情に俺はまた優しく頭を撫でた。

「攻撃開始は明朝になるようだ。」
「照星さん!明日は僕に薬込役をやらせてください!!」

山田先生のその言葉に一番に反応したのは虎若だった。すると照星さんは、まず最初に山田先生に目で確認をとってから、虎若のお父上に確認をとる。同意を得た彼は虎若の方を向いて軽く微笑んだ。

「しっかりやるんだぞ。」
「はい!!!」
「…あの私も。」

そのやり取りを見て三木ヱ門も虎若の後ろからこそっと薬込役の話に参加した。こりゃ、明日は三木ヱ門にとっても虎若にとっても大変勉強になる1日だな。しかし、

「みんな怪我しなきゃいいけど……。」

乱太郎が溢した言葉は俺の心の声そのものだった。そのことに少し驚きつつ、俺は乱太郎の側に近寄って頭を撫でた。

『無傷で、とはいかないだろうけど、きっと大丈夫だよ。ここには優秀な保険委員達もいることだし。』

俺が笑いかければ、乱太郎はまだ不安顔ではあるものの素直に笑い返してくれた。



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蓮夜さんがいることで学園のみんなは原作よりも優秀になってればいいと思う。


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