雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 学園の総力結集-05-


野村先生と松千代先生と一旦別れ、俺は園田村の裏口で庄左ヱ門と伊助をはじめとした"蛍火の術チーム"を待つ。しばらくすれば目当ての彼らがこちらの方に歩いてきた。今から忍務をこなすと言うのに、その足取りはとても軽やかだった。

「あ、蓮夜さん!こんなところで何してるんですか?」
『ふふ、お前らの見送りさ。』

こてんと首を傾げた伊助の頭をぐりぐりと撫でれば、へへっと嬉しそうに笑う。しかし、木下先生と勘右衛門がいるとは言え"蛍火の術"か。ドクタケ相手なので何とかなりそうだがやはり心配だ。まあでも「可愛い子には旅をさせろ」とも言うし、は組はなんだかんだで実戦経験はトーフなので大丈夫だろう。
俺は緩んでいた表情をキッと引き締め、庄左ヱ門と伊助を見つめる。すると、空気が変わったのを感じとった2人は俺と同じように表情を引き締め見つめ返した。うん、いい顔してる。これなら心配ない。

『……しっかり作戦を遂行してきな。』
「「はい!!」」

その返事に俺は表情を緩め頷いた。
作戦を聞きつけた団蔵・虎若・兵太夫と一緒に4人を見送った後、俺はまた野村先生と松千代先生に会うため村の外にある大きな木に登ってゆく。2人の近くの木の枝まで辿り着けば、野村先生がお疲れ様、と声をかけてくれた。

「蓮夜、木下先生のチームは?」
『予定通りのメンバーで出発しました。作戦の変更も無しです。』
「そうか。………お!?」

野村先生の声に反応して同じ場所を見れば、そこには荷車を引いている喜三太を除く用具委員会のメンバーと三之助・四郎兵衛がいた。

『ようやく到着ですね。』
「ああ、これで全員揃ったな。………だから松千代先生、そんな所に隠れないでくださいっ!!」

くすっと笑えば野村先生も俺を見て同じように笑い返したが、あまりにも引っ付いて隠れる松千代先生に声を上げた。しかし、怒られても隠れるのをやめない松千代先生を見ると、彼は野村先生の背がよっぽどお気に入りらしい。
なんだ。野村先生の背中って安心感があるのか?そうなのか?と、俺の中でどうでもいい疑問が湧いた瞬間だった。



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