▼ 学園の総力結集-02-
「じゃあ、俺は1年は組を起こしてくる。」
『あ、待って。』
腰をあげて部屋を出ていこうとした文次郎に俺は声をかけて止める。だって今、園田村に来ているのはまだ学園の生徒の半分に満たないはず。だったら、
『もう少しだけ寝させてあげてよ。』
「そうそう、だいぶ疲れているだろうからね。」
俺の後に伊作が続けば、文次郎は呆れたように1つため息をついた。
「伊作もそうだが、蓮夜も甘いな。」
その言葉に小平太も長次もこくこくと頷く。なんと。そんなの今更じゃないか。学園のみんなが周知の事実だろう?それに、みんなだって後輩に大概甘い。普通に相子ぐらいだろうと思うんだが。
『とにかく、学園の大半が集めってから起こしても問題はないだろう?』
「まあ、そうだな。寝かしといてやるか。」
しょうがないな、と言いつつも俺の言葉に同意して優しい顔をする文次郎に、ほらね、と心のなかで呟く。文次郎だって後輩に甘いじゃない。くすりと笑みが溢れた。
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