雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 学園の総力結集-01-


外が、がやがやと騒がしい。
集まってきているたくさんの気配に俺の意識がすぅっと浮上した。ゆっくりと目を開けて、ぱちぱちと瞬かせれば霞んだ視界は次第にクリアになってくる。そして、

『わお。』

寝起きそうそう目の前にあったのは伊作の可愛らしい寝顔だった。……えっと、ごちそうさまです。でいいのかな。

意識もはっきりしたとこで、俺はくあっと1つ欠伸を溢してからそっと体を起こした。するとすぐ隣で寝ていた伊作が身動く。

「〜〜ふぇ、蓮夜?」
『あぁ、ごめん。起こしちゃったな。』

寝ぼけた様子で目を擦りながらこちらを見る伊作に俺は苦笑をこぼした。起こすつもりなんてなかったのにと。だってもう少し年相応の寝顔を見ていたかったのだよ、俺は。あーあ、残念だ。
とその時部屋に近づいてきた複数の気配が部屋の戸を開けた。

「蓮夜・伊作起きたか?」
「蓮夜〜、いさっく〜ん来たよ!!」
「………もそっ……。」

入ってきたのは文次郎・長次・小平太の3人だった。それにしても寝起きに小平太の大音量とテンションはちょっと厳しい。静かにしてくれ、お願いだから。なんて心で呟けば、俺の思いが通じたのかのか長次が小平太に注意をしてくれた。流石、小平太の保護者だよな。

『みんなが来たってことは三治郎と金吾が無事知らせたんだな。』
「ああ、そうだ。2人は軽く休息出来たか?」
『ああ、十分だよ。』
「仮眠もとれたしね!」

腰かけた文次郎に凭れつつ、小平太が「それはよかった!」と豪快に俺達に笑いかける。しかしながら。小平太、早くもボリュームが戻っているぞ。

「それと蓮夜、怪我は大事ないか?」
『え、知ってたんだな。』
「山田先生から聞いたんだぞ!!」

文次郎や小平太の言葉に俺はこいつらも心配をしてくれたんだと、不謹慎ながら嬉しく思った。こんなに思われているとは、くすぐったくて暖かい気持ちになる。

『ふふ、怪我は大したことないよ。ありがとな。』
「ならいい、良かった。」

珍しく、機嫌よく笑った文次郎に俺もにこりと笑い返した。

『と言うか留三郎はどうした?』
「ああ、ちょっとな。」

仙蔵は喜三太救出チームに加わったから居ないのはわかるがなんで留三郎までいないんだ。文次郎のよくわからない答えに俺は疑問符を頭の上に浮かべた。

「そのうちわかるさ。」


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