▼ 到着そして休息-02-
伊作は俺の怪我の具合を見たあと、もう一度薬を塗り包帯を巻き直してくれた。完璧に痛み止めの効果が切れた今は、そんな些細な動きでも酷く痛い。熱が傷口のあたり集まっているのが嫌でもわかる。
『…地味に……痛い…。』
「当たり前でしょ!無理するなって言われてたのに、蓮夜が無茶したから傷口が変に開いたんだよ!?」
乱太郎を起こさないように伊作はあまり大きな声は出さないが、それでも俺の傷にはじんじんと響く。やだこわい。怪我のことになると本当に伊作はこわいんだからな。経験上、ここは素直に謝るのが得策だと思われる。
『……すいませんでした。』
「わかれば良し。暫くは本当に無茶せずに大人しくしててね。」
少し眉を寄せる伊作は本気で心配してくれている。そう言うところが甘いって言われる原因なんだけどな。でも、心配してくれている伊作の気持ちもわからなくないので大人しく従うことにしよう。
もう一度、伊作から痛み止めの薬を受け取り白湯と一緒に飲み込んだ。とその時、
「「「えぇ〜!?」」」
隣の部屋にいるみんなの驚いた声が聞こえてきた。俺は伊作と顔を見合せてから、どうしたのだろうと不思議に思い部屋に移動した。
「戦うってタソガレドキ軍とですか!?」
「はい、惣の意気地を見せてやるのです。」
「そう言われましても……。」
困った顔をした先生方を横目に、俺達はは組の隣にちょこんと座る。はて、何がどうなっているのやら。聞いてなかったから話がよく見えない。
「あの、戦うって言ったて村人の皆さんは…。」
「1人もいない…。」
お行儀よく庄左衛門が手を挙げて発言し、そのあとを団蔵が引き継いだ。その言葉をもう一度拾ったのは、にこやかに笑う手潟さんだ。
「皆、避難させました。」
「じゃあ、誰が戦うの?」
あれ、あれ?これは何か凄く嫌な予感がするぞ。嫌な予感ほど当たるものはないのに。俗にいう第六感ってやつだな。
「と言うわけで、忍たまの皆さんよろしくね〜!」
やっぱりか。
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