雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 学園vsタソガレドキ-03-


一気に畳み掛けるとするか……。

襲ってきた1人の攻撃を避け、彼の後ろに回り込む。そしておもいっきり背を蹴れば彼は仲間の方に飛んで行く。飛んできた仲間を受け止めた彼らの元に仙蔵力作の焙烙火矢を投げ込めば、残っていたもう1人がそれを別の場所へと弾くため焙烙火矢の前に突っ込んできた。よし、いける。焙烙火矢の死角となって迫っている苦無に彼は気づかない。
焙烙火矢を弾いた瞬間、目の前に飛んできた苦無を慌てて避けた彼はバランスを崩し地面に落ちた。俺は忍刀を抜き残った2人を一気に攻める。
斬りかかれば、すんでの所でかわされたが余裕なんて与えない。1人の方に刀を投げつけてから、地面に手をつきもう1人の顎を蹴りあげる。そしてまた1人地面に沈んだ。

刀を投げつけられた方の忍は怪我こそはしていなかったが刀が装束を突き抜け木に刺さり、張り付けられたような状態になっていた。しかし、木に張り付けられた彼は手が自由。よってすぐ動きだそうとしたが、その前に俺が彼の首元に苦無を突きつけた。

『追っては来ないで下さいね。』

にこりと俺は微笑む。

『強い方相手に、こちらも手加減なんて無理ですからね。次は命の保証できませんから。では。』

こっちだって必死なんだから。タソガレドキ忍軍相手なんて骨が折れる。本当に。

3人のタソガレドキ忍者の元を去り、先生方と合流しようと土井先生の戦っている場所に向かう。ちょうど土井先生を見つけたとき、彼は敵に向かってチョークケースを投げていた。それを相手は忍刀で弾くが、中のチョークの粉は防ぐことなんて出来ずにもろに浴びてしまっている。

「げほっ、ごほ。」

おおう。むせてる、むせてる。堪らなくなったのか相手は口当てを下げる。目も若干涙目だ。

「なんでチョークケースなんだ!しかもセコい折れチョークばっか!!」

的を得た彼の台詞に俺はくすっと笑ってしまった。そりゃ、折れチョークばかりなのは土井先生だからとしか言いようがありません。たぶんきり丸のドケチがうつったんだと思うよ。

「忍者なら手裏剣ぐらい投げろよっ!」
「出席簿ならあるぞー。」

土井先生の発言に少しイラッときたのか相手が勢いよく突っ込んでいく。

「学校の先生みたいに!!」
「学校の先生だもん。」

にっと笑って相手の頭を出席簿の角で攻撃すれば、ごちん、と凄い音が辺りに響いた。思わず『すごっ』と口から感想が出たのはしょうがない。
随分とあっさりと勝負がついていたが、あれは地味に痛そうだ。は組のみんなもいつかあの攻撃をいつか受けちゃうのだろうか。座学の出来が悪いは組の未来を少し案じた。

『土井先生!』
「蓮夜、そっちも終わったか。」
『ええ。掃除完了ですよ。』

土井先生の隣を走りながら先に園田村に走らせた三郎や雷蔵・は組の子達を追いかける。

「こちらも終わったぞ。どうだ、怪我の具合は?」

さっと気配なく俺の隣に山田先生が現れ、開口早々心配そうに聞いてきた彼に俺は、過保護だなぁなんて思いくすっと笑った。

『大丈夫ですよ。痛み止めもまだ効いてますし。』
「辛くなったらいいなさい。無理はしないように。」

土井先生には頭を軽くわしゃわしゃと撫でられた。…デジャブだ。なんて思いながらも俺は素直に返事をする。だって嬉しいことに変わりないからね。

さぁ、園田村までもう少し。
もうちょっと頑張りますか。



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