雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 学園vsタソガレドキ-02-


利吉さんと仙蔵が勢いよく外に飛び出した。それと同時に、投げられた焙烙火矢が爆発し辺りは一瞬昼間よりも明るくなった。目を瞑っていてもこれ程とは。それを作った仙蔵の火器の腕にはつくづく驚かされる。
彼らが陽動をしてくれている間に俺達は各々の忍務へと向かった。俺は山田先生・土井先生とまたタソガレドキの相手だ。今度は怪我をしないように気を付けなければいけないな。



目の前の3人の敵を見据える。
彼らの中に先程戦った"陣内"と言う名の忍はいない。"陣内"さんがいなくて安心したのは言うまでもない。だって彼、すごく強いんだよ。

「貴方が組頭と小頭の言っていた"鴉"ですね。」
「是非とも私たちと、」
「お相手願いたい。」

目元しか見えない彼らからは表情は読み取れない。だが、少し面白そうに笑ったような気がした。

『……1つ尋ねても?』
「なんでしょう。」

即座に1人が目を細めて答えた。俺はゆっくりと片手を出しある場所を指差す。その指差す先には、1人の懐から雑渡昆奈門のギョニールが顔を出していた。

『それは突っ込んだ方が良いのか?』
「これは気にしなくていいですよ。」

いや、気になるだろ。しかも雑渡昆奈門をギョニールにして持ち歩くとかどんだけ好きなんだよ。なんて、俺は全力で突っ込みたくなるが、一つ深呼吸して気持ちを落ち着かせた。うん、相手の言う通りだ。気にしなきゃいいんだ。ギョニールは存在しない。見えてない。戦いに集中しろ。……おし、いけそう。

再び前を見据えた時には互いに戦いのことしか頭になかった。そして誰が合図した訳でもなかったが次の瞬間、一斉に俺達は駆け出しぶつかり合った。



***


雑渡side


眼下で自分の部下と忍術学園の者達が戦いを繰り広げている。その中には先刻、私自身が戦い認めた"鴉"くんもいた。

しかし椎良と反屋・五条の3人は容赦ないね。本気で潰しに行ってるよ。私が彼を気に入った宣言しちゃったからかな?でもそれをものともしない彼は流石だね。怪我してるのにあそこまで動けるとは称賛に値するよ。おじさんちょっと吃驚。
それに他の忍術学園の者も生徒ではなく"先生"なのだろう。部下達も押され気味だ。

「あからさまな囮でもこう手強いと…。お先に失礼。」

忍術学園………。
噂に聞いた通りだ。そこらの城とはまるで違う。優秀な忍ばかりだ。



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