▼ 戦の実態-02-
合流場所にはオーマガ組をはじめ選抜チームの一部と先程会った利吉さんも集まっていた。
「じ、実はかくかく然々でーーー。」
「なるほど、利害が一致したんだね。」
利吉さんの言葉に土井先生が軽く返した。と言うか利吉さんの持ってるパペットに誰も突っ込まないんだね。しかし、イケメンは何しても絵になるな。なんて今はどうでもいいことだったね、失敬。
「で、お前達は何を見たんだ。」
山田先生の問いに乱太郎達もまた「かくかく然々でして!」と答えた。ちょっと待って、どこから持ってきたのその着ぐるみ!なんて盛大に突っ込みたかったのに誰も反応しないので俺も何とかスルーをさせてもらった。まあ、可愛いかったから全然いいんだけど。とりあえず思いっきり抱き締めたかったな。
「ーーーで、お前達はタソガレドキ忍者につけられたんだな。」
「しんべヱに似た怪しい男が包帯だらけの大男忍者と森の中で……?」
山田先生の言葉に雷蔵が反応し三郎に声をかける。すると三郎はごそごそと顔を触り、ある1人の顔を造り出した。
「それって、こんな顔だった?」
「ああー!そんな顔してました!」
「……これはオーマガトキ城主・大間賀時曲時の顔だぞ?」
三郎が化けたのは俺も見た大間賀時曲時。上手い、上手いが三郎の体型でやられると違和感しか出てこないよ。そんなどうでも良いことを考えてる俺をよそに、土井先生の言葉に乱太郎達は驚きを隠しきれないのか目をまんまるにしていた。
『俺も見たので間違いないです。』
その一言で俺に注目が集まった。
『それに包帯だらけの大男忍者はタソガレドキの忍組頭・雑渡昆奈門です。………彼と闘いましたが、恐るべき実力者です。』
戦った、といった瞬間ざわりと周りがどよめく。隣に座っている土井先生も酷く驚いていた。そりゃそうか。土井先生が駆けつけたときはタソガレドキ忍者2人としか闘ってなかったし、雑渡昆奈門の姿などどこにもなかったもんね。
『俺との戦いで、彼は本気なんて微塵も出していなかった。本気で彼がぶつかってきていたら、きっと俺は今頃ここにはいませんね。』
本当もう闘いたくない相手ですよ、と軽く笑えば、幾らか話していた時よりかは空気は柔らかくなったが、先生方や利吉さん・上級生達はまだ眉が寄っていて難しそうな顔をしていた。
……うーむ、これは言い過ぎたかな?でも事実だったからなあ。情報は的確に伝えないと後々こちらが痛手を喰うから。
こほんと1つ咳払いをして空気を変えた山田先生が口を開いた。
「何はともあれ、オーマガトキ城主とその敵であるタソガレドキの忍組頭が密会、か……。事態の本質が見えてきたようだ。」
だが、は組のみんなはぽかーんとしている。どう言うことかさっぱりわからないらしい。彼らにはまだ難しい、か?
いや、でもよく考えたら分かりそうだと思うけどな。特にきり丸あたりが。だってこの件は、お金が大量に関わっている話だもの。
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