雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 強者との邂逅-02-


森の中、音を出さずに木の枝から枝へと飛び移る。
目指すはタソガレの陣。そこに目当ての人物がいれば、俺の予想は確信へと変わるだろう。急かす気持ちを押さえながら、俺は気配を消し慎重にタソガレドキの陣へと近づいていく。

後少しで目的の場所にたどり着こうかと言う時、後ろの方から複数の気配がこちらへと迫ってきた。…タソガレドキ忍者か?いや、それにしちゃ気配が駄々漏れだな。一旦止まり注意深く気配を探ってみた。数は6。小さいのが5で大きいのが1。……ん?小さいのは若干気配を消しているな。まあ、駄々漏れだけど。
そこまで思考を巡らせてはっと気づいた。この気配、乱太郎ときり丸.しんべヱ.団蔵.金吾じゃないか。全くこんな危ないところで何をしているのやら。

彼らは大きい気配と一定距離をあけて進んでいるので、恐らく前を歩いている奴を追っているのだろう。危なっかしいたらありゃしない。
仕方がないので、俺は危険が及ばないようにと彼らの元へと向かう。だってここはもうタソガレドキ忍者がうじゃうじゃいてもおかしくない場所なのだから。

乱太郎達を追いかけていれば、ある場所にたどり着いた。少し高い木の枝に移動して下の様子を探ればそこには面白い光景があった。

『ふふっ…。』
予想した通りだ。これで本質は見えた。

微かな笑みが溢れる。何故ならオーマガトキの夫丸の制服を着たオーマガトキ城主・大間賀時曲時と包帯だらけのタソガレドキ忍者がいたからだ。しかしここで心配事が1つ出てきた。あの特徴的な姿は恐らくタソガレドキ忍者隊の忍組頭・雑渡昆奈門だろう。これはこれでかなり不味いんじゃないのか?何故って、奴は忍の中じゃ有名な"あの"雑渡昆奈門だからだ。

その時、大間賀時曲時の着替えを手伝っていた雑渡昆奈門が乱太郎達がいる方へと振り返った。そして鼻で笑いながら呟いた。

「貴方は計り事の相手には相応しからぬ人のようだ…。」
「何!?どういう意味じゃ。」
「いや此方のこと。さっ、案内つかまつる。」

くいっと手で仲間に合図を送った雑渡昆奈門は大間賀時曲時を連れて歩いていく。…やばいね、本格的に。今の合図で乱太郎達を追ったのは2人だ。どうするか、なんて一瞬考えたけど悩むほどのことではないので直ぐに行動に移した。
怪我で済みますようにと祈りながら。



prev / next

[ back to top ]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -