▼ 園田村からの相談-01-
見知った姿を見つけた。前の方から馬を引いてくるのは加藤村馬借組合の清八さん。こんなに遠くからでも、イケメンっぷりが目立ちますね。
『清八さん!』
「蓮夜さん!お久しぶりですね。」
清八さん始め、加藤村馬借組合の方たちはよく忍術学園に荷物を届けに来てくれるので俺もすっかり知り合いだ。もしかして、
『今いらしている学園長のお客人をお連れしたのは清八さんですか?』
「ええ、今帰りを待ってるんです。」
にこにこと話す清八さんはふと思い出したようにきょろきょろと辺りを見回した。何を探しているんだろう。
「蓮夜さんがいると言うことは若旦那達も近くにいるんじゃ。」
え、何そのお約束みたいな言い方。そりゃよくは組のみんなと一緒にいるけれど、毎日一緒にいる訳じゃないんだけどな。
『は組の子達なら土井先生と一緒に門の前にいますよ。』
「そうでしたか!なら僕はこの辺で。」
ぺこっと軽く頭を下げる清八さんに対して俺も頭を下げる。遠ざかる彼の背中を見送りながら俺も思い出す。
『あ、学園長の庵に行かなきゃ。』
prev / next