男の人生さて、これまで


怒らないで聞いてほしい。





これから話すことは事実であり。

別に贔屓目に見てるとかそんなんでもない。

至極、当たり前のことなのである。




前置き長めに、いったい何が言いたいのかというと。











要するに、俺は世間で言う『イケテルメンズ』








『イケメン』だった。










生まれてすぐに、赤ん坊としてモデル業をこなし、


幼稚園、小学校、中学、高校。



女の子になんて腐るほどモテた。



ひとたび町を歩けば、道行く女はみんな俺を視線で追い、

スカウトのあらし。




モテにモテにモテまくった俺。


彼女がいれども、寄ってくる女の数はとどまることをしらない。



18という若すぎる年でも

女にうんざりしてもいいほどモテた。




おっと、だから怒らないで聞いてくれってば、
話はこれからなんだからさ、




えっと・・・そんで、


まぁ、うんざりしそうなものなんだけども。


女なんてめんどくせー生き物だとか、
スレた性格不細工になってそうなものだが


如何せん、俺はモテるくせに女の子が大好きだった。



クラスじゃあ、目が大きくて、髪がサラサラで

肌が白くって、形の良い眉に鼻筋、唇。

細い手足の華奢な女の子が可愛いなんてもてはやされて



化粧っけのない、そばかすがあったり、

地味なメガネをかけて、野暮ったく二つに髪を結んだ女の子は


暗い、のりが悪い、不細工。


などと、あまり良い印象をもたれないことが多い。

しかし、俺に言わせりゃあ
女の子なんてそれだけで可愛いのだ。


背伸びして、無理に化粧しなくても。


目が大きく無くったってなんだって。
可愛いものは可愛い。



まぁ、そんな俺だからモテモテだったのかね?




あ、嘘嘘!!いや、嘘じゃないけども・・・聞いてってば!!










で、そんなもんだから、
恋人を一人に絞るなんてこと、とてもじゃないけどできなかった。


博愛主義者すぎるのも考えもんだ。










たしか、バイトの帰りだったんだよな、

時間はたしかPM10:30頃。


携帯片手にいじりつつ、夜道を一人とぼとぼ歩いてたわけだ。



そしたら、不意に俺の名前を呼ぶ声が聞こえてさ。


顔を上げてみれば、3mほど先に見覚えのある女の子がいたんだよ。




たしかその子は6番目の彼女だったと思う。



ニコニコしながら、街頭の下に立っててさ。


びっくりしたんだけど、俺もちょっとうれしくなって

携帯をかばんにしまってから小走りでかけよったんだよ。


こんな時間だぜ?可愛い女の子が一人でいちゃあ危ないだろ?



そう、声をかけようとしたらさ。
いきなり抱きしめられて、

あぁ、やっぱ女の子ってやわらかくって良いにおいすんな〜とか考えてたら。


「ねぇ、どうして君は私だけを見てくれないの?」


って言われてさ。


さすがの俺もちょっと困っちゃったわけ。



俺はどんな子でも、女の子なら可愛いと思っちゃうから、

誰か一人だけを愛するとか、そういうこと考えられなかったんだよ。



だからさ、


『俺、ちゃんと君の事見てるよ?』


って、できるだけ優しくささやいたわけ、



そしたら、そのこ俺に抱きついたまま、


顔を俺に向けたんだけど、


なんか、泣いててさ。

あれはマジでギョッとしたね、実際。



女の子泣かせちゃった?!って、内心もうあせりまくり。



そしたら、その子。


「あたしだけを見てくれないならっ!!あなたを殺して、私も死ぬわ!!」



って。




ゾワっとしたね・・・













そんなに俺のこと好いてくれてんのか・・・って




え?、俺おかしいって?

いやいや、何言ってんの、んなわけないって。







んで、俺が感動して口を開こうとした時、



急に背中が熱くなってさ、いや、すんげー冷たくなったのかな?



まぁ、とりあえず

金属特有の冷たさ、見たいなのが体の中にあってさ、


そりゃあもう激痛?


声になんなかったねアレは。




そんで、あぁ、俺マジで殺されんのか。


って思って


案外短い人生だったな・・・とか考えてた。



でも、女の子に殺されんなら本望かな?



みたいな?



どうにも俺らしい幕の閉め方じゃん?

って思った。



ま、もうコレで色んな女の子を愛せないのかって思って、ちょっと悲しくもあったけど





君だけを愛せなくてごめんね。

とか、


女の子を泣かせるなんて俺サイテーじゃねぇか

とか、


そんなことばっか頭ん中をしめてて。



体に力が入んなくて、そのまま地面に崩れ落ちるようになって

意識も薄れ行く中で、



俺を愛してくれたその女の子は

さっきよりもずっと大粒の涙をながしてて、



それみて、変な話だけど



俺、ちょっと嬉しくなったんだよね。



俺のために泣いてくれるんだねってさ。








ん?やっぱり俺おかしいって?


ん〜まぁ、なんでもいいよ。




血まみれになった俺の横に、

彼女も放心したように座り込んじゃって。



涙をポロポロ流しながら唇を震わせてんの。



ごめんなさい


ごめんなさい



って、何度も誤りながら、顔を青くさせててさ。




だから、俺、震える彼女に精一杯笑って言ってやったんだ





― 俺なんかのために泣かないで ―




ってさ。



そんとき、あの子すんげー驚いた顔してたなー




ま、それで俺の短い18年の人生は幕を下ろしたはずだったわけよ。





その、"はず"だったんだけどなぁ〜


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